塾長の考え

塾長の考え(私大医学部受験)④

お父さんとの電話が終わって数日後。

東京から娘と2人で本当にやってきた。

東京都千代田区から生徒が来て面談する。

こんな日が来るとは思わなかった。

 

娘HKちゃんは1年後に語ってくれた。

入塾の気持ちはこの時点で一切なかったと。

九州には家族で何回か旅行に来ており、

長崎のハウステンボスは数え切れず。

まだ来たことがなかった宮崎には、

観光のつもりでやって来た。

「宮崎の塾で合格するなら苦労はしない」

東京の一流と呼ばれる塾や予備校に、

何年間も通っていた身分としては、

そう思うことが当然だった。

「東京以上にレベルが高いわけないよ」

浪人中はどこにも旅行に行けなかったので、

ここで(宮崎の塾に)興味があるよと、

父親に言っておけば旅行になるな~と判断した。

「テレビで見ていたヤシの木とかあるのかな」

「神話の里ってどんな感じかな」

「海の色は沖縄と比べてどうなのかな」

 

面談が始まった。

お父さんの生い立ちの話から始まった。

(子どもの面談にしては珍しい展開…)

お父さんの亡くなったお母さんへの想い。

(HKちゃんのおばあちゃんにあたる)

そのおばあちゃんが、

娘(HKちゃん)にそっくりだということ。

(本当に似ているらしい)

娘を本当は手元(東京)に置いておきたいこと。

お金はいくらかかってもいいということ。

自分は開業医(目医者)であるということ。

 

東京の私立大学医学部受験は難化傾向で、

どんなに頑張っても娘が合格できないこと。

もしも今年浪人するなら4浪目になること。

小さい頃から娘も希望している医師への道を、

父親としてあきらめきれないこと。

娘は千葉にある私立大には合格していること。

娘の母親が入学の手続きは済ませているので、

4月からは一応そこの大学生になること。

そこに通うかどうかは娘に決めさせること。

今回は塾に入りたいかどうかを決めるために、

娘と2人で宮崎に来たこと…。

 

父親としては1年後に宮崎大学医学部医学科に、

合格出来るのならばうれしいとのこと。

娘が東京からいなくなることで、

自分が寂しくなる気持ちよりも、

娘の将来性が確保できることが大切なこと。

 

1つひとつの言葉をかみしめながら、

誠意をもって話してくれている姿に、

父親のわが子を想う気持ちの大きさが、

こちらにも伝わってきていた。

 

「本当にこの子を合格させることができるのか」

 

毎回そうなんだが面談の最中に自問自答する。

結果を出すことができそうだと思えば、

その旨を伝えて引き受けるし、

難しいと判断すればそれを正直に伝えている。

塾(予備校)に入るかどうかを、

第1に考えたことは今まで1度たりともない。

こちら側の問題になるのだが、

(合格させる)自信があるかどうかで、

塾として引き受けるかどうかを判断している。

実際に入塾するかどうかはその後の問題であり、

こちらに決定権はまったくない。

 

(続く)

 

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