塾長の考え(個別指導の限界)
初めて予備校生を指導した時のこと。
対象となる生徒は1人(女子)だった。
2浪目のその生徒は、
昨年は別の予備校にいた。
宮崎ではなく北九州にいた。
集団授業のその予備校では、
生徒100人に対して講師は1人。
授業終了後に質問をしようとしても、
それはほとんどできなかった。
受験(鹿児島大学歯学部)も不合格になり、
その原因の1つは質問ができなかったこと。
そう彼女は考えていた。
だからこそ、
北斗塾に来て個別指導を受けさえすれば、
「わからないところは全部解決するはず!」
そういう意気込みだった。
その後、私は経験することになる。
個別指導の限界。
これが……ないことを。
それまでの塾講師の経験では、
質問に答えているうちに、
自然と時間が来ればそこで終了。
次回に持ち越し。
それでよかった。
だが、
予備校生の場合はそうではない。
朝から夕方まで8時間はいる。
当時、生徒が1人だったこともあり、
「先生、わかりません!」
「教えてください」
「この場合はどうなるんですか?」
質問に関して無制限だったため、
その生徒の質問の回数は容赦なかった。
加えて、
90点とれているテストにおいても、
「あと10点分のところがわかりません」
「満点取れるまでお願いします」
「そうしないと不安なんです!」
「2浪目ですからっ!」
こんな感じで延々と続く。
その結果、
彼女は宮崎県でトップの成績となった。
医学部医学科の合格もトップだった。
このとき痛切に感じたことは、
個別指導に限界はない、ということ。
制限をかけないと、
いつまでもいつまでも質問が続く。
その生徒がすべての教科の、
すべての問題が楽々解けるようになるまで。
やる気のある生徒が相手になると、
しかも生徒1人に講師1人となると、
終わりがない。
個別指導には限界が「ない」。
ある意味恐ろしいことである。