ある高校の先生との会話で(中編)
「塾長、俺、今度こそ頑張って(医学部に)受かりたいです!」
センター試験で764点が取れたその生徒(予備校生)。
目標の医学部合格に向けて次なる関門は2次試験だ。
2次試験とは通称名であって正式名称は「個別学力検査(試験)」という。
各大学が実施する各大学の教授(助教授?)陣が作成した入試問題のことだ。
センター試験が終わってからすぐにデータネットリサーチとういうものが行われ、
今年の各大学の合格ラインが各予備校または関連機関から発表される。
センター試験がその年は難しくなったと評判が立っている中で、
実は彼が取ったセンター試験での点数の764点はかなり良かったのだ。
もしもだが、センター試験が前年度の難易度であれば、
あくまでももしかしたらの話だが、彼の目標の810点も可能だったかもしれない。
ところが、ここで事態は急変する。
地元宮崎でNo.1の学科出身だったその生徒が元担任(高3時の担任)に、
センター試験の結果を報告に行ってしまったことで彼の運命が変わったのだ。
その年のセンター試験の難化のせいが原因かどうかは今でも判然としないが、
その学科の受験者(当時の高3全員)で何と700点台が14名しかいなかったのだ。
全体で相当数の高3生が在籍しているその学科の中で14名。
その数字は私が知っている中でも最悪ではないかと思う数字だったのだ。
もちろん800点台はいない。当時そのように聞いた。
そんな苦境の状態にその学校(学科)の関係者は追い込まれていたのだが、
そのような非常事態の中でその生徒が元担任に結果報告がてらあいさつに行くと、
「えっ、お前が!?」
「はい、先生やりましたよ!」
「本当か、おい、764点だと!お前やったじゃないかっ!」
「はい、先生!今年こそは医学部に行きたいです!」
「…よし、わかった。お前は今はどこ(の予備校)に行っているんだ?」
「はい、今は地元の学習塾なんですが北斗塾(予備校)に行っています!」
「はぁ、塾だって?う~ん、それじゃあちょっと心もとないなぁ…」
「は、はい…?」
「そこ(北斗塾)でこれから2次試験までの1ヶ月間を過ごすのはどうかなぁ?」
「え、そうなんですか、ダメなんですか…?」
「おい、ちょっと待ってろ」
「え、あ…、はい…」
その後、間もなくして元担任に呼ばれたらしい数人の先生たちが、
その生徒の目の前にずら~っと現れたのだった。
(続く)