東大の受験対策で(その3)
地方の高校の先生たちが皆そうなのかはわからないが、
傾向としてセンター試験の点数でほとんど合格が決まる、
そう思って進路指導しているのではないだろうか?
毎年高校3年生の親御さんと面談をするときに、
よく聞くクラス担任の先生のセリフを聞いているとそう思ってしまう。
確かに、ほとんどの国公立大学の場合はそれでもいいかもしれないが、
ランキングが上位の大学になるほど異なる戦略が必要である。
最大の理由は各大学実施の個別検査(=2次試験)への配点、
すなわち傾斜配点であろう。
例えば東京大学の場合は、
「センター試験」:「2次試験」
=「1」:「4」である。
これが何を意味するか理解することにより指導戦略が決まる。
ズバリ言って2次試験重視の指導だ。
センター試験は950点満点の試験をいったん900点に圧縮する。
それから東大2次試験の満点が440点なので傾斜を考慮すると、
センター試験の「900点」は「110点」となり、
東大の2次試験は「440点」で合計「550点」枠での勝負となる。
「550点」という範囲でどれだけの点数を取るかが大事だ。
もちろん得点の上位から合格する。
東大には文系と理系がもちろんあって、
文科Ⅰ類、文科Ⅱ類、文科Ⅲ類、
理科Ⅰ類、理科Ⅱ類、理科Ⅲ類、
このように分類されている。
入学時にはまずこの6つの中のどれかに入ることを目指すわけだ。
この中で昨年度最低点数がもっとも低かったのは、
理科Ⅱ類で「330.4」だった。
つまり「550点」を満点としたときに「330.4」点以上取れれば、
日本の最高学府と呼ばれる東大に合格できたことになる。
センター試験は「900点」を「110点」に圧縮して、
それを持ち点とするのだが、
仮定の話だが、もしもセンター試験で8割の点数「720点」が取れると、
「88点」が持ち点となり東大の「2次試験」(440点)に向かう。
合格最低点数が「330.4」なのだから、
330.4ー88=242
したがって、「440点」満点中の「242点」を取れれば合格する。
242点を440点で割ると……、
「0.55」となる。
つまり、55%の得点率で合格だ。
半分と5%の得点で受かる。
よって、東大の過去問で半分が取れるかどうかが、
戦略的指導として考えれば年末までの最低目標となる。
そして本番のセンター試験で720点以上を取れるかどうか。
取れれば取れるほど2次試験での得点は下がっていく。
しかしセンター試験で俗に言う「足切り」になると受験票が来ない。
自動的に不合格になってしまう。
先ほどの例に挙げた「理科Ⅱ類」は「720点」ジャストだったのでセーフだ。
※ちなみに理科Ⅰ類は「698点」で理科Ⅲ類は「630点」。
この「足切り」点数を見るだけでも本当に合格する生徒たちは、
受かるための戦略をもって受験していることがわかる。
その背後にはそれらを生徒たちに指導している講師がいる。
こういうことを地方在住であっても心しておかなければ、
全国レベルの指導などは絶対にできないのだ。