塾長の考え(九大受験)9
「お~い、ちょっとこっちへおいでよ」
私はCくんを呼んだ。
今日は日曜日だが、
塾は定期テスト前なので指導をする日だ。
Cくんは「自習」のつもりで塾に来ていた。
毎週日曜日には彼は自習をしに塾に来る。
予備校生だが同時に自習メンバーでもある。
自習メンバーとは日曜日にも塾に来て、
学習ができる生徒のことである。
だが私も出勤しているので、
自習ではなくて今日は指導をしようと思い、
彼に声をかけたというわけだ。
数日前に今後の受験勉強についての方針を、
彼には伝えていたので、
「あ、空間ベクトルをやりたいです」
と言ってきた。
先日の土曜日の夜の指導で、
2019年の九州大学の数学を解いたのだが、
その際に気になった単元が「ベクトル」だった。
「じゃあ、そこを補強しよう」
Cくんの学力を考慮して、
レベル4の問題からすることにした。
1問ずつ正誤の記録をつけるチェック表を渡し、
「ベクトル」の単元の中でも、
「空間ベクトル」のある特定の項目だけを、
重点的に補強することにした。
これが見事に命中だった。
最後まで解き切らないのである。
九州大学の問題はレベル6~7の問題が出るが、
レベル4の問題ならば瞬殺できないといけない。
特に1浪目の6月ならば、
「今月がリミット」である達成すべき学力が、
レベル4なのである。
7月からはレベル5の問題に対しての、
解答力を養成していかなければ、
本番に想定している学力に到達しなくなる。
そのように計画しているため、
今月はレベル4完成予定時期なのだ。
できなかった問題はいちいち私の前に来て、
解答作成の流れを私に向かって説明する。
解答するための自分の方針と、
問題作成者の狙いを見抜いたかどうか、
何の知識と何の技術が要求されているか、
それらを全部私に説明してもらう。
私は途中でいくつも彼に質問をして、
理解度のチェックをする。
そこでまたいくつかの発見があった。
①中学1年生の1~3月に学習する単元が、
若干弱いこと、
②中学3年生の1~3月に学習する単元が、
若干弱いことが判明したのだ。
いやじつはもっと詳しくわかった。
①については中学レベルで「レベル3」の知識、
②については中学レベルで「レベル5」の技術、
それらが「ぼやけて」いて、
使える状態ではなかったのだ。
個別指導だから発見できるのだ。
要するに、
当時(中1や中3)に学習したときに、
本質まで食い込んで理解していないのだ。
それと圧倒的にその当時の演習が足りていない。
それが答案の中身と私への説明の口ぶりで、
ほぼほぼ全部わかるのである。
当時(中学生)の学習の甘さが、
年月を経て浪人生となった今でも、
問題を解くときに邪魔をしてくる。
高校に合格したから中学の問題は大丈夫。
高校を卒業したから中学の問題くらい全部解ける。
こんな都合のいいことは、
どの生徒にもほとんど起きない。
(続く)