情報大洪水の時代(その19)
推薦入試の受験で合格できなかった生徒のお父さん。
どうしても納得がいかず、
まずは通学している高校の先生に聞いてみても、
「どういうことかわかりません! すみません!」
学校側もこう言っているからには、
これ以上はどうにもならないわけで、
普通はここで終了となるのだが、
そのお父さんは「普通」ではなかったのだ。
ありとあらゆる手段を駆使して、
まさかというべきか、
私立大の入試合否の核心となるべきところまで、
とうとう到達してしまったのだ。
(その大学の)推薦入試の合否の基準。
これについての秘匿情報を得たそのお父さんは、
私にだけ「本当のこと」を教えてくれた。
だれかに真実を聞いてもらいたいという気持ち。
親子で理不尽な思いをしたが、
それには「理由」があったということだった。
正直言って、私も大きなショックを受けた。
真実を知って。
しかし、その内容については…、
ここで公表することはできない。
一般の受験生やその保護者の方が知ってしまったら、
あまりにも衝撃的で、刺激が強すぎるからだ。
「先生、実は来年は子どもに受けさせたいところがあります」
「はい、来年こそは地元の医学部ですよね?」
「いやいやいや、先生!」
「な、何ですか!?」
「1年間も浪人して大金を払うんだからそんなとこじゃだめですよ~!」
「そんなとこって…。いや十分難しいので簡単じゃないですよ!」
「いやいやいやいや、それじゃ話になりませんわ!!」
「…」
「1年ですよ、1年も勉強するんですよっ!」
「では、いったいどこを考えているのですか?」
「そんなもの決まっていますよ!」
「どこですか?」
「目指せ、合格ですよ!」
「だから、どこなんですか!?」
「東京大学理科Ⅲ類、この1択ですわ!!」
「はぁ~!?!?」
(続く)