塾長の考え(親子関係)21
GKくんの受験勉強は彼のペースで進んだ。
高校3年生が受験生だからと言って、
彼ら彼女らが勉強すれば何であっても、
「受験勉強だ」
というわけではない。
受験勉強とは入試で点数を、
取れるようにするための勉強。
だが、
生徒1人ひとりの学力は違うし、
志望大学や学部も違うし、
合格に要求される学力も、
受験大学学部の難易度によって変化。
さらに、
塾に通う回数も時間もいろいろ。
それら均一ではない状況の中、
各生徒がいろんな条件の中、
的確&適切に個別指導をすることは、
とても難しかった。(当時)
病院での外科手術ならば、
一発勝負的なところがあるけれど、
受験勉強は1日では終了しない。
それなりの期間があり、
その期間内にいろんなことが起きる。
それによっては、
うまくいくはずのものがダメになったり、
うまくいかないはずのものが成功したり、
いろいろな結果が出る。
学校から出された課題は、
ある生徒によっては受験勉強となるが、
ある生徒によっては受験勉強ではない。
だから、学習塾がある。
塾としては、
その生徒の学力や性格に応じて、
質の高い受験指導をしたい。
そして最終的には合格してもらいたい。
親御さんの喜ぶ顔が見たい。
そう思って日々の指導に取り組むのだが…。
「塾長、そういうことなので宿題の指導を」
「いや、やりませんよ、宿題の指導は」
GKくんのお母さんからの要望があった。
わが子に出される宿題を手伝ってくれ、と。
正確に言うと、
宿題でわからないところがあるから、
学校に宿題をやっていけないわけであり、
そうならないように指導をしてくれ、
そういう要望だった。
「宿題は本人がやるものですよ」
「それだとまた学校から呼び出しが来ます」
「呼び出しはマズいですけれど…」
「また説教を受けに学校に行きたくありません」
「それはそうでしょうけれど…」
「宿題の指導をお願いします」
「いや、だから宿題の指導はしません」
「塾長!」
これが当時の私と親御さんの会話の一部だ。
学校に呼び出されることは実際に辛いだろう。
医薬を飲むことが増えたとも聞いた。
生徒本人も宿題の答えを教えてほしいと希望。
だが、断った。
そういった指導はしないと決めていたから。
実際は、平成6~7年のころはそうしていた。
塾に通う高校生の宿題の負担を解消したくて、
塾に来るや否やすぐに宿題をさせていた。
わからないところは全部指導してあげた。
これがとても生徒に喜ばれた。
塾に来る日が本当に楽しいと、
各高校生から言ってもらえた。
こちらもやりがいがあった。
宿題の問題を解いて解説してあげると、
どの生徒も大喜びだったから。
そして、
そういう指導をしてあげた高校生は、
皆が成績不振になっていった。
多くの生徒がやめた。
理由は「成績が上がらないから」。
このとき北斗塾は高校生の指導に対して、
まだまだ試行錯誤中だったのだ。
(続く)