塾長の考え

塾長の考え(私大医学部受験)⑦

早速4浪目の勉強を開始することになった。

名前はHKちゃんだ。

 

「まずは何からしたらいいですか?」

「これだよ」

「え、あの…私これを解くんですか?」

「言っていなかったね、これからだよ」

「大学受験ですけど、これは間違いでは?」

「いや、間違いではないよ」

そこにあるのは中学3年生の問題だ。

いわゆる高校受験用の問題である。

間違って渡されたと思ったのだが、

これが北斗塾の指導の定跡なのだ。

 

中学生の問題を解けば、それだけでわかる。

その生徒のこれまでの学習の歴史の全体像が。

大学入試のレベルで考えれば、

基礎のキソとは実は中学生の問題だ。

もちろん大学受験をする生徒は、

普通は高校3年生以上であるため、

「こんな問題やってられないよ!」

そういう生徒も過去に数人いた。

しかし、そういう生徒でも満点は取れない。

「こんな問題!」とか、

「できますよ、このくらい!」と言っても、

試験をしてみれば、結局は普通に失点をする。

そこにウィルスが隠れ潜んでいるのである。

 

さてHKちゃんの結果が出てきた。

やはり…問題点が浮かび上がってきた。

この基礎のキソをほとんどの予備校は、

押さえない。

面倒だし教材もないし、

何よりも予備校講師は中学生の問題が、

簡単だからなのか、やりたがらない、

というかバカにしている。

そんなものやる必要はないと。

ここにお宝が眠っているのに。

うちの講師もこの手順は把握していて、

スムーズな指導の流れができており、

特に今年からは予備校生だけでなく、

高校生が入塾してくるときには必須事項と、

最近決定した。

今年の大学入試対策時にも、

嫌というほど中学生の内容でつまづく、

そんな高3生がいたからだ。

彼ら彼女らはその時期(中3)には、

どこかしらの学習塾に通っていて、

授業を聴いたり講習や特訓を受けたりして、

仕上がった状態で高校受験をしている。

そのはずなのだが、

おもしろいように覚えていないことが多く、

また当時に身に付けていなければならない、

解法技術や定理などそのほとんどが、

うろ覚えであり記憶から消えている。

この学力の状態で高校受験に合格して、

この学力の状態で高校の授業を受けていく。

そんなことを毎日繰り返していけば、

少しずつわからないところが積もり、

やがてはあらゆる部分にウィルスが、

発生していく。

何のウィルスかというと、

新しいことを学ぼうとするときに、

理解の邪魔をするウィルスだ。

これが増殖していき、

日々の学校の授業の完全理解を妨げる。

その繰り返しが「自己」を創り上げる。

無意識に創られた自己のイメージが、

着々と出来上がっていく。

そこに追い打ちをかけるように周りが、

ほぼ正確に思ったままの評価を下し、

その評価を口に出して本人に告げる。

これが自己評価となり、

いよいよ「自己認識」の完成となる。

これが大学受験本番でも「悪さ」をする。

 

(続く)

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