塾講師のやる気の源とは?(その7)
「それこそが最高の教材だよ」
「あの~、一応お聞きしますが…」
「え、何?」
「これって、…」
「うん、何?」
「小学生の問題では??」
そう、彼に渡した問題は小学生の問題。
少し付け加えて説明すると、
中学受験の入試問題。
さらに詳しく言うと、
公立高校の附属中の入試問題。
なぜこの問題が高校3年生のAくんにとって、
今この時期、
つまり大学入試(2次試験)直前に、
わざわざ時間をかけてしなければならないのか?
ここまでの話で「ピン」とくる塾講師は、
ほぼいないだろうと思う。
なぜなら先入観があるからだ。
大学受験生である高3生が入試問題とは言え、
小学6年生の問題を使うことはないという、
ごく当然と思われる常識。
それも受験勉強開始時ではなく、
本番である2次試験直前期に。
なぜこれが有効なのか?
小学生、中学生、高校生と浪人生、
すべての生徒を抱えている塾で、
すべての指導内容に「精通」している、
塾講師でないとわかるはずがないのだが、
攻略が難解な大学入試の総合問題の本質は、
思考力・判断力・表現力の3つだ。
この3大能力は昨今の「大学入試共通テスト」、
これで要求している能力であり、
これを測定するための問題が、
従来のセンター試験よりも大幅に多くなり、
そのせいでセンター試験よりも共通テストは、
相対的に難化している。
この問題をスラスラと解くことができている、
そんな高校3年生が存在している。
彼ら彼女らは実はすでに6年前の入試、
それも「公立高校附属中受験」の対策として、
すでに中学受験専門塾などで、
この3大能力を伸ばすために、
みっちりと訓練されていたのだ。
だから、共通テストになっても、
「共通テストだから、何?」
とばかりに得点をガンガン取っていく。
思考力・判断力・表現力の3つは、
難関大学と言われる10~12の大学の中でも、
特に「旧帝国大学」と言われる、
東大、京大、阪大、北大、東北大、名古屋大、
そして九大の7つ。
これら7つの大学入試で必ず問われている能力。
Aくんの場合は…、
レベル感はだいぶん下がるが(笑)、
受験する大学入試に総合問題が出てくるので、
その対策として6年前にタイムスリップして、
1から訓練する必要があった。
それが公立高校附属中学の入試問題であり、
「適性検査」の問題が対策の始まりとなるのだ。
ここまで書くと必ず、
「うちの塾でもそんなことはできます!」
「当然そんなことは前から知っています」
と追随してくるところ(や塾長や教室長)が、
後出しジャンケンで出てくる。
小学生・中学生・高校生・浪人生と、
一貫した指導ができている塾はほとんどない。
これらすべてに精通しようとしても、
平成5年3月1日から塾長をやっている私が、
令和5年3月3日のひな祭りの日にブログを、
書いていて自信をもって言わせてもらうが、
「精通するなら」
せめて20年間くらいの研究&実践の年月が、
最低でも必要ですよと言いたい。
(続く)