塾長の考え

塾講師のやる気の源とは?(その13)

さて、Aくんの小論文対策は進む。

 

基本の型を学びさっそく書いてみる。

「どうっすか、これ」

「いいね」

「受かりますか?」

「この小論で?」

「はい」

「ダメだね」

「(ガクっ!)何でですか?」

「まだ50点くらいかな」

「いや、習った通りに書いてますけどっ」

「…あのね、型通りに書いて初めて1歩目」

「これじゃダメなんすか?」

「ここから進化していけばいい」

「で、どこが悪いんすか」

「内容が…薄い」

「いや、自分は頭悪いんで知識ないっすから」

「だから?」

「内容のある文章なんか書けないっす」

「内容がある文章を書けるように学習しよう」

「いや~、今から勉強して間に合いますか?」

「それは…わからん…ね」

「あ~、どうすれば、ちぇっ」

「今なんか言った?」

「言ってないっす!」

「まずやれることを1つずつやるんだよ」

「…間に合いますか?」

「だから…それは知らんって!」

「で、何をすれば?」

「あのさ、自分が受ける学科名は言える?」

「はぁ? 言えますよ」

「そこの教授たちは日ごろ何を研究している?」

「知らないっす」

「考えるんだよ」

「わからないけど、●●とか▲▲とか?」

「そう、そうだよ」

「それを想像して文章を書くんすか?」

「その前に事例を調べるんだよ」

「●●とかの事例っすか?」

「そうだよ」

「どうやってやるんすか?」

「今はネットの時代だからすぐにわかるよ」

「なるほど…」

「で、それを調べたら紙に書いてよ」

「全部っすか?」

「いや、要点をまとめるんだよ」

「そっか、やりますっ!(敬礼)」

 

こういうやり取りで日が暮れる。

北斗塾は本当は自立型個別指導だから、

こんなやり方は通常しない。

でも、時間が押し迫った状態のとき、

緊急状態のときは「依存型」で、

指導をすることもよくある。

相手(=生徒)の状態と状況を見て、

そのときの適切な形態で指導をする。

 

各教室の1日の生徒指導記録には、

生徒ごとに、

「自立度1級」「自立度2級」「自立度3級」

「自立度4級」「自立度5級」

が明記されており、

生徒指導のやり方選別の指標になっている。

これに応じて指導をすれば、

自立度がどうであっても成果は出る。

 

しかしながら長期的に見れば、

「自立度」の高い生徒ほど、

それに応じたレベルの中学校や高校や、

有名私大や難関大学などに進学する。

大学受験に限って言えば、

医学部医学科や薬学部薬学科を目指す場合は、

地方の大学でも入試の難易度が高いため、

この「自立度」が2級以上でないと、

まず合格することは厳しい。

 

単純に学力別編成のクラスで授業を受ける、

そういう画一的な指導を受けるよりも、

個々の生徒の諸事情(ファクター)で、

柔軟に指導内容や方法が変化すれば、

それ相応の成果が化学反応として、

われわれの目の前に出てくるのだ。

それを毎回おいしく調理できるか?

そこが講師の腕の見せどころとなる。

 

(続く)

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