塾長の考え(「この話」)1
昔の話。
讃岐(さぬき)に住む、
太兵衛(ふとべえ)という、
1人の男がいた。
この太兵衛が孝行者だと、
代官の耳に入った。
ある雪降る夜に代官が、
太兵衛の家の外に、
そっと様子を見に行った。
戸のすき間からのぞくと、
老母が炉のそばにうずくまり、
太兵衛は寝床に入っていた。
「これが孝行者だと?」
憤然とした代官は、
そのまま立ち去ろうとした。
が、待てよ、と思った。
もうしばらく様子を見た。
そうすると、
太兵衛が寝床から這い出てきて、
老母のそばへ手をつき、
「お母さん、お床が温まりましたよ、
どうぞ、お休みください」
これを目撃した代官は、
とても感動して、
翌朝、太兵衛を呼び出した。
莫大な褒美をを与えて、
特に「孝野」という性まで、
与えたという。
その後現在に至るまで、
その「孝野」家は、
繫栄し存続しているという。
「この話」が私は好きだ。