生徒は誰でも伸びる力を持っている
今から3か月くらい前のこと。
ある中学2年生の生徒がお母さんといっしょにやってきた。
お母さんに連れられてしょうがなくやってきたその生徒。
塾に来るのは不本意だっただろうね。その様子から察するに…。
話を聞いてみると、学年に80人いる生徒の中でその生徒の成績は80番。
「本当にビリなの?」
「冗談ではなくて??」
お母さんと本人に何度も確認して、私が一言。
「いや~、ここから学年トップを取れれば伝説になりますね。ビリだった時の成績表を絶対に無くさないでくださいよ!」
苦笑いをしているお母さんとどんな顔をしていいのかわからないその生徒の顔が印象的だった。
「今は中2ですけど、中学3年生の間にトップ10に入れるように指導しますから。あと1年半あるので大丈夫ですよ」
「高校に進学したらその学年でトップを目指そう」
「大学も進学したらいい。夢も目標もないなら東大にしなさいよ」
私が何を言っても冗談だと思って苦笑いをしていたお母さんと、どうしてそんなに自分のことを信用して言ってくれるのか意味が分からない生徒を前にして私は話を続けた。
「勉強は本来おもしろくてはまれば抜けられなくなるくらい楽しいのですよ!」
「大丈夫。必ずできるようになるから」
それから3ヵ月以上がたち、その生徒のテストの成績表が返ってきた。
「32番!」
学年に生徒が80人いてビリだったその生徒は32番の成績だった。
「な、できるだろ!」
私の言葉におおきくうなずくその生徒。
「まだまだ番数は上がるから心配しなくていいよ。これからもっともっとおもしろくなるぞ~」
中高一貫のその私立の学校は昨年は東大合格者も出たのだから、大いに頑張っている生徒もいるだろうし、張り切って指導している先生たちもいるだろう。
でも、その生徒に1度は、
「ダメですね」
と烙印(らくいん)を押したよね。先生。
そして点数を取れるようになったらその生徒に手のひら返しの対応になったよね。
すごく驚いて褒めまくったよね。
最初からそうしてほしかったな。
ほとんどの子どもは恐ろしいくらい可能性を秘めているのです。
学校の先生の目の前にいる生徒は誰でもとてつもない可能性を秘めているのです。
その生徒もそうだったのです。
でも、見限ったよね、1度は。
誰でも伸びる能力を持っている。
成績が悪い生徒は確かに大勢います。
でも、根本的な問題はその生徒にあるのではなくて、その能力を見抜けない先生の方にあるのです。
生徒は誰でも伸びる力を持っているのです。
これからもうちに来た生徒の成績を上げることで、この事実の確かさを証明していくだけです。
ちなみにこの生徒の次回のテストの成績は20番に入るくらいを予定しています。(*^^*)