塾長の考え(親子関係)20
GKくんは国語を克服しないとまずいが…。
「…というわけで、国語を緊急指導したい」
「マジですか、でも英語の方がやばいです」
「英語に力を入れたいの?」
「はい、マジでやばいですから」
「国語はどうする?」
「英語の次は数学がいいですね」
「国語は?」
「数学の次は化学がやりたいです」
「で、国語は?」
「…もちろんやらないといけないです!」
そんな感じのやり取りがあり、
本人の意向に沿って塾での指導を開始。
確かに…、英語も危ない。
高校1年生レベルの英文法がガタガタである。
理数科のGKくんは英語も数学も、
高校入試程度までなら9割以上の点数。
国語は5~6割程度。
でも、
高校レベルになると、
英語の基礎である英文法が、
頭の中に整理整頓されていない。
よって、
英語の問題がとてつもなく難しく見えている。
次に、
国語力(読解力)が弱いため長文の問題は、
「何を書いているのか…さっぱり、です」
という状態。
この長文読解力の弱さをGKくんは、
「英単語を覚えていけば解決するはず」
と判断しており、
「英文を読みながら英単語を覚えるんだよ」
とアドバイスしても言う通りにしない。
どうしても自分のやりたいようにしたい。
それで「理数科」にだって合格した。
今は勉強時間が足りなかったから、
たまたま成績不振に陥っているだけ。
「俺が本気になりさえすれば、できる!」
自信はいいのだが、
どうにも自分のやりたいようにしたい、
その傾向が強い。
まるで塾に関しては、
「わからないところだけ教えてくれればいい」
と言わんばかりの態度だった。
しかし、
「わかる」「わからない」だけで言えば、
例えば基礎知識が入っていない英文法だと、
10問中7問くらいわからないのが実態。
それなのに7問を指導していたら、
「時間に対しての効果」
これが悪すぎるため残り数カ月の期間では、
明らかに間に合わなくなる。
基礎学力を構築するまでは、
自宅学習の時間を安定して確保して、
塾に来たときにわからない部分の指導をする、
この「構図」にならないと話にならない。
だが、
「家だと勉強できないんですよねぇ」
と言って学校から出される課題だけやる…。
というか、その課題さえやらない。
「難しすぎますよ」。
理数科の夏の課題はすでにハイレベル。
難関大学と言われる入試問題をベースとした、
問題だけを英語も数学もピックアップして、
大量の課題プリントとして生徒に配布。
どうにもならないから開き直って、
それをやっていかないGKくんの場合、
とうとうお母さんが呼び出された。
こっぴどくお母さんが先生から叱られる。
「どういう教育をしてきたんですか!」
あまり多くを語ると生々しいので、
これ以上は語れない。
ただこのとき私の中で、
ひとつハッキリと認識したのは、
「お母さんの方が叱られるんだ…」
ということ。
これが当時けっこう衝撃的だった。
(続く)